髭爺の徒然なるままに

33歳で定時制高校を卒業した友人が、
3年前に71歳で幽界誕生致しました。

彼は、学校の門をくぐる時や教室の出入りをする時には
必ず一礼するのです。

感心して其の話をすると、
幼き頃の苦しかった頃の思い出を語り、
学校へ行きたくても行けなかった事情を語るのです。

そして、現在学校へ通えることの感謝を話すのです。
だから、感謝を込めて一礼するのだと言うのです。

それ以来、髭爺は大学でも其の習慣を自分のものとして
続けてまいりました。


いつも、私のそばに席を置き、
解らないことは徹底的に解るまで訊ねた
彼の友人とは、
今はもはや話を交わすことすら出来ません。
年賀状をしたためる頃になると、
つい思い出してしまいます。

◎一礼で 門をくぐりし 学び舎に 三十路過ぎたる 友の微笑み


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